Vol.118 米スタンフォード大学・電力不要の冷却装置を開発!

米スタンフォード大学・電力不要の冷却装置を開発!

米スタンフォード大学の研究チームは2017年9月、特殊な光学面を使用して、電力を使わずに水を冷やすことに成功したと発表しました。同研究グループが発表した冷却装置は、普通の屋根のような形をした光学パネルで、大気放射冷却の原理と光学技術を組み合わせた冷却装置です。同研究チームは2014年11月にも、エネルギー効率向上のための新しいアプローチとして、この放射冷却技術を紹介しています。今回開発された冷却システムは2014年に発表した特殊な光学パネルが重要な役割を果たしており、その冷却システムを次のレベルに引き上げたとしています。
「放射冷却装置」と聞くと、専門性の高い技術に聞こえますが、その仕組みは誰もが日常的に体験している自然なものです。例えば人が激しい運動をした後、大気中に熱を発散することで体の表面温度が下がったり、昼間に太陽光で熱くなったアスファルトの路面が日没後に熱を放射して表面温度が下がる、などといった現象です。同研究チームが開発した光学パネルの表面は、複数の光学フィルムを重ね合わせた鏡のような形状になっています。このパネルが太陽光の約97%を反射し、装置自体が太陽光によって温められるのを防ぎ、「放射冷却」によって、光学フィルム層の下に流れる水を周囲の温度以下に冷やす!というものです。

同大学のShanhui Fan教授と、以前の研究者であるAaswath Raman氏、Eli Goldstein氏らが発表した論文(※ネイチャー・エナジー9月4 日号掲載)によれば、「冷却システム」は世界の発電電力の15%を消費し、地球温暖化ガス排出量の10%を占めているとしています。さらに、2050年までに冷却の需要が現在の10倍に達するとの予想から、冷却システムの効率を向上させることは、21世紀のエネルギー課題の重要な部分であることを指摘しています。
さらに論文では、「放射冷却装置」による3日間の試験の結果、水流量0.2 l min -1 m -2で、周囲空気温度より5 ℃低い温度まで水を冷やすことが実証された他、高温乾燥気候にあるラスベガスの2階建て商業ビルでの使用を想定した電力消費シミュレーションでは、夏季期間中に使用する冷却用の消費電力を21%削減、全期間にわたって毎日の消費電力は18~51%も削減することが可能であると発表しています。
地球温暖化対策への強力なアプローチとなり得る、同研究チームの発表には今後も着目して参ります。ご興味をお持ちの方は、「Stanfordニュース」に掲載されている発表をぜひご覧ください。 (※ご紹介の写真はイメージです)

■Stanfordニュース:2017年9月4日掲載
スタンフォード大学の教授が電気なしで動作する冷却システムをテスト
https://news.stanford.edu/2017/09/04/sending-excess-heat-sky

■Stanfordニュース:2014年11月10日掲載
パッシブフォトニック放射冷却:エネルギー効率向上のための新しいアプローチ
https://photonics.stanford.edu/events/passive-photonic-radiative-cooling-new-approach-improving-energy-efficiency
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