Vol.152 マサチューセッツ工科大学(MIT)

マサチューセッツ工科大学(MIT)

人工臓器の相互作用を、数週間・正確に再現させる装置を開発!

これはMIT Newsで3月14日に公開された内容です。MITの研究者たちが開発した装置は、開発中の新薬が人体にどのような副作用を与えるのかを検出するためのもので、数百万個の生きた細胞を使い、最大10個の臓器を相互に接続して、その作用を数週間にも亘り、正確にシミュレートすることが可能な装置です。
現状、新薬が人体に与える影響を検証する場合には、マウスをはじめとする動物が使われています。生物工学と機械工学の教授であるLinda Griffith (リンダ グリフィス)氏によると、「“動物モデル”は薬の安全性と有効性について、相応の情報を提供することが可能であるものの、動物と人間では似て非なる要素が多いため、動物モデルから正確な予測を行うことは実際には困難である」と指摘しています。「臓器チップ」は、既に相当な数存在しているようですが、実際の臓器は単体で存在している訳では無く、相互に作用し、影響を与える極めて複雑な仕組みになっているため、Linda Griffith氏の指摘は、専門家でなくても容易に想像できる内容です。
このプロジェクトは、以前当ページにも登場しました「米国国防総省先進研究プロジェクト庁(DARPA)」が先導するプロジェクトの一環で、潜在的な薬物効果をモデル化するための、「チップ上の生理学」と呼ぶ技術を追求することを目的としています。このプロジェクトが始まる以前、複数の臓器を数週間にも亘り、接続・検証することに成功した例はありませんでした。正確かつ迅速に これを達成するための新しい装置と、人間の器官の機能を正確に複製・シミュレーションする装置が求められたのです。

マサチューセッツ工科大学(MIT)

MITの研究者たちは論文で、肝臓・肺・腸・子宮内膜・脳・心臓・膵臓・腎臓・皮膚・および骨格筋など、10種類の臓器を結びつけるチップを複数作成。実際の臓器はそれぞれ100万~200万の細胞の集団から成り、複製された臓器チップは器官のすべてを複製するわけではないものの、重要な機能の多くを果たしているとしています。また、組織の大部分は、実験室で使用するために開発された細胞株からではなく、患者サンプルから直接得ることができ、これらの「初代細胞」は、器官機能のより代表的なモデルを提供するとLinda Griffith氏は述べています。

研究者たちはこの装置を用いて、胃腸組織に薬物を送達、薬物の経口摂取を複製し、その薬物が他の組織に輸送され、代謝される際に観察することができることを示しました。さらに、薬物がどこに行き、異なる臓器にどう影響を及ぼしたか、薬物がどのように分解されたかを測定しています。
Linda Griffith氏は、「私たちのプラットフォームの利点は、それを拡大または縮小し、さまざまな構成に対応できることです」と述べ、さらに「私は、3臓器や4臓器のシステムからより多くの情報を得るために、この分野が移行するだろうと考えています。取得している情報が非常に多いため、コスト競争力を持つようになるでしょう」とも述べています。

いかがでしたでしょうか。
この装置が、Linda Griffith氏の言うようにコスト競争力を持ち、オープンソース化されれば、民間の製薬会社などでも活用が進み、より精度の高い新薬の研究・開発に繋がるかも知れません。今後も適時、着目して参ります。

■参考サイト:MIT News
http://news.mit.edu/2018/body-chip-could-improve-drug-evaluation-0314

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