Vol.161 燃えにくい新規電解質を用いた高安全なリチウムイオン二次電池の試作に成功!

燃えにくい新規電解質を用いた高安全なリチウムイオン二次電池の試作に成功!

日立製作所と東北大学

スマートフォンや電気自動車をはじめ、さまざまな機器のバッテリーに「リチウムイオン電池」が使用されています。リチウムイオン電池は、通常の電池に比べて電圧が高く、容量も大きく寿命も長いことが大きなメリットですが、普及に伴い発熱・発火などの事故やメーカーによる大量リコールのニュースも多く耳にします。今日ご紹介する技術は、これらの事故を防ぐための大きな鍵となるかも知れません。

東北大学と日立製作所らの研究グループが試作に成功した「リチウムイオン二次電池(LIB)」には、従来の有機電解液よりも引火点が高く、燃えにくい新しい電解質が用いられています。リリース内容によると、容量100Whのラミネート型電池を用いて、充電や放電などの電池特性を確認し、さらに、従来の有機電解液LIBによる電池の発熱や発火の要因となる内部短絡のケースを模擬した、強制内部短絡試験法のひとつ「釘刺し試験」を行い、試作したLIBの不燃性も実証しています。一般的なLIBでは、引火点が20℃以下の有機溶媒が電解液として用いられており、異常発生時に発火してしまう恐れがありました。そのため、発火を抑制する補強材や冷却機構が設けられており、システム小型化などの妨げにもなっていました。
東北大学では2011年から、発火しにくく、安全性の高いLIBの開発に向けて、引火点の高いLIB向け電解質の検討を進めていました。今回、日立と東北大学が共同で開発した新規電解質を用いた試作ラミネート型LIBでは、以下の2つの技術を開発しています。

燃えにくい新規電解質を用いた高安全なリチウムイオン二次電池の試作に成功!

★高い引火点とリチウムイオン伝導性を両立する電解質材料技術
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LIB用の電解質には、安全性を担保するための高い引火点に加え、スムーズな充放電反応を進行させるための、高いリチウムイオン伝導性が求められます。今回開発した技術では、新規電解質内のリチウムイオン伝導挙動をシミュレーション解析し、リチウムイオン伝導を促進する液体成分を探索することで、従来の4倍も高いリチウムイオン伝導性と、有機電解液よりも100℃以上高い引火点の両立に成功しています。
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★新規電解質を用いた電池製造技術
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今回開発した新規電解質を用いたラミネート型電池の試作品では、界面改質技術により電解質の電気化学的安定性を向上させることで、電池容量低下の要因となる正極および負極表面での新規電解質の分解反応を抑制し、設計値通りの電池容量で充放電の繰り返し動作を実現しています。さらに、ナノ・ミクロスケール領域の電解質材料分布の最適設計、製造条件の最適化を施すことで、電池の信頼性低下の要因となる電解質材料の凝集や空隙、クラック形成を抑制し、エネルギー密度の高い電池容量100Whラミネート型電池の試作にも成功しました。
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日立製作所と東北大学では今後、開発したLIBの実用化に向けて、更なる高エネルギー密度化、充放電時間の短縮化など電池の性能向上を目指して行くとしています。リチウムイオン電池の、容量や寿命だけではなく、安全性も担保されることで、ますます普及が進んで行くのではないでしょうか。今後も着目して参りたいと思います。

■参考記事:株式会社日立製作所 2018年2月16日ニュースリリース
http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2018/02/0216.html

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