Vol.183 『三角測量原理』による"星までの距離"の測定と限界について。

『三角測量原理』による"星までの距離"の測定と限界について。

先月の記事の中で、「7月31日に地球と火星の距離が最接近する」という話題をご紹介しました。今回の「最接近」による地球から火星までの距離は、およそ「5,759万km」です。ちなみに、太陽系にある各惑星と地球との大よその距離を近い順番にまとめると以下の様になります。 ※地球・火星と同様、他の惑星も太陽を中心に軌道や周期が異なるため、「〇〇km~〇〇km」という形式で表記します。

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★月(地球の衛星):38万km
★金星:4,140万~2億6,000万km
★火星:5,400万~2億7,000万km
★水星:9,100万~2億1,000万km
★太陽:1億5,000万km
★木星:6億3,000万~9億km
★土星:13億~15億km
★天王星:27億~30億km
★海王星:44億~47億km
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地球一周の距離が「4万km」であることを考えると、月以外はどの惑星も“とてつもなく遠い距離”に位置していることがわかります。さらに太陽系の外に位置する惑星までの距離となると、もはや「km」で表すことは困難なため、「光年」という単位が使われます。1光年=「光の速さ(秒速30万km)で1年間に進む距離」を、「km」で換算すると大よそ「9兆4,600億km」。太陽系外の恒星で“最も近くにある恒星”とされる「プロキシマ・ケンタウリ」までの距離でも地球からおよそ4.2光年、天体観測などの本によく登場する「シリウス」や「アルタイル」「ベガ」までの距離は、それぞれシリウス=8.6光年、アルタイル=16.7光年、ベガ=25光年です。毎年、多くの新星が発見されている中でも“最も大きい恒星”とされる「たて座 UY Scuti星(直径約25億km/太陽の約1,700倍)」までの距離になると、およそ9,500光年も離れています。

さて、これだけ遠い星までの距離は、いったいどのようにして測られているのでしょうか?

『三角測量原理』による"星までの距離"の測定と限界について。

★この記事のタイトルにある、『三角測量原理』がその回答です。
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「三角測量(さんかくそくりょう)」とは、互いに見通せる3つの点を選んで三角形をつくり、その1辺の長さと2つの点との夾角(きょうかく)を測定して、三角法/三角関数により他の2辺の長さや頂点までの距離/位置を求める測量法です。国土の測量や地図作成など、広範囲におよぶ土地の測量などに採用されています。
例えば、地球から月までの距離を『三角測量』で測る場合、三角点ABCの「A」を月、「B」を経度、「C」を緯度とすることで測ることができます。まず「B」から「C」までの距離を測り、次にB→A、C→Aの夾角を測ることで、月までの正確な距離がわかる!ということです。
太陽系の外にある遠い惑星までの距離を測定する場合は、太陽と一定の距離を保ちながら周回している地球と太陽の距離(1億5,000万km)が「B」「C」となり、測定対象の惑星が「A」となります。測定を開始した時の地球の位置を「B」、そこから太陽の周りを半周した時の位置を「C」とすれば、B⇔C間の距離が約3億kmとなり、B、CとA(測定対象の惑星)との夾角を求めることで、惑星までの正確な距離が測定できるのです。(※実際に測定する際には「年周視差」とよばれる角度の情報も必要です)
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『三角測量原理』による"星までの距離"の測定と限界について。

★「三角測量」による距離計測の限界
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太陽系から比較的近い位置にある惑星までの距離は、この方法で計測することが可能ですが、遠くなればなるほど、2つの夾角は限りなく「0度」に近くなっていくため、計測は難しくなります。「三角測量」で測れる距離の限界については諸説ありますが、およそ1万光年程度までと言われています。
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いかがでしたでしょうか。広大な宇宙の中で、さらに地球から遠い位置にある天体までの距離の計測方法については、また別の機会でご紹介したいと思います。今後もぜひご注目ください。

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