Vol.192 地球から1万光年以上離れている惑星

地球から1万光年以上離れている惑星

地球との距離の正確な計測方法とは!?

7月中旬のポスト(※)で、「7月末に地球と火星の距離が最接近!」という話題にちなみ、「三角測量原理による"星までの距離"の測定と限界」について公開しました。その記事の中で、三角測量原理による距離計測の方法と、計測距離の限界が「1万光年」程度であることをお伝えしています。
今日は、もう一つ上の単位=10万光年先という、さらにとてつもなく遠い位置にある惑星までの距離の計測方法についてお伝えしたいと思います。ちなみに太陽系を含む「銀河系」の直径が、およそ10万光年です。

■10万光年先の星までの距離計測の基準となる「パーセク」と「H-R図」とは?
-------------------------------------
ここでは天体の距離を示すもう一つの単位「Parsec(パーセク)」と、「H-R図(ヘルツスプルング-ラッセル図)」というものが登場します。「1パーセク」とは、「三角測量原理」に使用する年周視差(※)にして1年周期分の1秒角に相当する距離であり、およそ3.26光年(30兆8,600億Km)先となります。そして「H-R図」とは、横軸に「スペクトル型(星の表面温度/星の色)」、縦軸に「星の絶対等級(光度)」を示した恒星の分布図です。デンマークの天文学者:アイナー・ヘルツスプルングと、アメリカの天文学者:ヘンリー・ノリス・.ラッセルによって考案され、両者のイニシャルを取って名付けられました。

地球から1万光年以上離れている惑星

「H-R図」で恒星を分布すると、太陽も含めた9割以上の恒星が図の左上(明るくて高温)から図の右下(暗くて低温)に延びる線上に位置します。この線を「主系列」といい、この線上に位置する星を「主系列星」と呼びます。星は水素ガスから成る濃密なガス雲から誕生し、中心部で水素原子が核融合してヘリウムに変わる事で、エネルギーを放射していますが、「主系列星」は水素の核融合反応が安定している状態の星です。「星の一生」はほとんどの時間を、この「主系列星」の状態で過ごします。
ちなみに「H-R図」内で、「主系列」よりも上方に位置している星は、同じ表面温度の星に比べて「絶対等級(光度)」が明るく、星自体の直径が大きな“巨星”です。これらの星は中心部での水素原子が枯渇しており、つまり星としての「老年期」に入っている星郡です。「主系列」よりも下方に位置する星は、同じ表面温度の星に比べて等級が暗く、星自体の直径が小さな星です。これらの星のほとんどは、核融合反応がほぼ停止状態にあり、星としての一生を終えつつある、「白色矮星(はくしょくわいせい)」と呼ばれる星群です。
-------------------------------------

地球から1万光年以上離れている惑星

■パーセクとH-R図を使った距離の計測方法
-------------------------------------
この様に星の表面温度(色)と明るさ(光度)には一定の関係があります。「H-R図」の縦軸である「星の絶対等級」とは、測定対象となる星を10パーセク(32.6光年)離れた距離に置いたと仮定した場合の光度を“等級”として換算したもので、“星本来の明るさ”を評価する指標です。1等級ごとの明るさの違いはおよそ2.512倍と定義されており、6等級上の星では2.512の5乗=およそ100倍の明るさと言う事になります。
地球から10万光年先という、とてつもない遠い位置にある星までの距離も、その星が「主系列星」であれば、「H-R図」を基準に“星本来の明るさ”と“見た目の色の関係”を用いて、「絶対等級」と「星までの大よその距離」を推定することができるのです。
例えば、地球から見た太陽の「見た目の等級」は、マイナス27等級にも達しますが、明るさ(光度)は距離の2乗に反比例するため、10パーセク離れた場所に置いたと仮定するとわずか「5等級」となり、夜空ではほとんど目立たない明るさ(光度)の星ということになります。逆に太陽と表面温度(色)が同じ星であるにも関わらず、「見た目の等級」が太陽よりも暗い星は、その「見た目の等級」の“違いの分”だけ、遠い距離に位置する星であることが解る!というわけです。
-------------------------------------

いかがでしたでしょうか。
途方もない単位の数値をよく「天文学的数値」と呼びますが、「光年単位」の星までの距離の計算方法は、まさにこれに該当します。また別の機会に、銀河系の外にある「他の銀河」までの距離=数百万光年先の距離の推定方法などについても触れて参りたいと思いますので、今後もぜひご注目ください。

■Rentec Journal Vol.183 (※)
『三角測量原理』による"星までの距離"の測定と限界について。
http://journal.orixrentec.jp/2018/07/post-73.html

ページトップへ