Vol.207 3Dプリンタを用いた"バイオニックアイ"の研究

3Dプリンタを用いた"バイオニックアイ"の研究

ミネソタ大学が世界で初めて、半球面上に完全な光受容体を配置することに成功!

3Dプリントの技術もついにそこまで!と、感じた方も多いのではないでしょうか。ミネソタ大学が8月末に発表した研究成果は、視力を失った人が再び光を取り戻す、または視力が弱くなった人の回復を助ける「バイオニックアイ」の実現に向けた、貴重な第一歩と言えそうです。
ミネソタ大学の研究チームによる、「半球面上に光受容体を3Dプリントする技術」は、科学誌「Advanced Materials」で発表されました。「バイオニックアイ」の研究は、これまでさまざまな機関・さまざまな手法で行われていますが、3Dプリント技術を用いた例は極めて独自性が高く、世界から注目を集めています。研究に参加したMcAlpine(マカルパイン)氏は次の様にコメントしています。

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バイオニックアイはこれまで、
サイエンス・フィクションの中のものと考えられていましたが、
現在、我々は3Dプリンタを用いることで、
そのすぐそばまでやってきています。
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記事のタイトルにあります通り、今回研究チームが取り組んだ課題は、「半球状のガラス表面に電子機器を3Dプリントする」というものです。“銀粒子”をベースとした特殊インクを用いる独自の3Dプリンタを使用し、半球状のガラス表面に特殊インクが流れることなく定位置に留まり、また均一に乾燥させることに成功しています。このプロセスでは、光を電気に変換できる「フォトダイオード」を3Dプリントするため、「半導体ポリマー材料」を用いており、プリントにはおよそ1時間を要するそうです。
マカルパイン氏は、今回研究チームが開発した技術の“驚くべき成果”として、「完全に3Dプリントのみで作られた半導体の、光を電気に変換する効率が25%もあった」、という点を挙げています。同氏は今回の成果と今後の展望として以下の様にコメントしています。

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アクティブな電子機器を確実に印刷できるようになるには、
まだまだ長い道のりが必要ですが、
我々が3Dプリントに成功した半導体は、
微細加工設備で製造された半導体デバイスの効率に
潜在的に匹敵する可能性を示し始めています。
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つまり、3Dプリント技術の進化により、微細加工設備で作られた半導体と同等のものが、設備のない環境でも作れるようになりつつある!ということです。同氏は次の研究ステップとして、「より効率的な光受容体を備えたプロトタイプを作成すること」を挙げています。さらに、実際の目に移植することができる“柔らかな半球状の材料”に、光受容体を3Dプリントする方法についても研究を続けていくそうです。
マカルパイン氏らの研究チームは、数年前にも「バイオニック耳」を3Dプリントすることに成功して世界から注目を集めました。研究チームはその後も、外科手術に使用が可能な3Dプリンタで作られた「人工臓器」や、電子ファブリックとして機能する「バイオニックスキン」などさまざまな研究・開発を続けています。
視力を失った人が再び光を取り戻すことができる「バイオニックアイ」の研究、今後も注目して参りたいと思います。

■参考サイト:UNIVERSITY of MINNESOTA:News & Events
Research Brief: Researchers 3D print prototype for ‘bionic eye’
https://twin-cities.umn.edu/news-events/research-brief-researchers-3d-print-prototype-bionic-eye

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