Vol.211 全世界の降水分布を高精度に可視化・予測するAIプロジェクト

全世界の降水分布を高精度に可視化・予測するAIプロジェクト

ウェザーニューズと米NVIDIAがコラボレーション!
~最先端のDeep Learning技術で、大雨災害多発エリアの被害軽減へ~

6月初旬のポストで、「気象庁の新スーパーコンピュータシステム」の話題に触れ、日立製作所が構築した新システムの導入により、気象計算プログラムが従来システムの10倍高速化、さまざまな気象情報の予報期間が大幅に延長される記事(※1)をご紹介しました。
気候変動の影響もあり、世界各地で気象による災害が多発しています。今回ウェザーニューズが発表した全世界の降水分布を高精度に可視化・予測する「AIプロジェクト」は、主に「大雨災害」の被害軽減を目的に、最先端の「Deep Learning技術」を活用した、これまでとは全く異なるアプローチです。(※以下、ウェザーニューズ/ニュースリリースを参考にご紹介)

気象災害が多発しているなかでも、東南アジアなど、大雨災害が特に多い地域では、気象状況の把握や詳細な予測が重要なテーマとなっていますが、その実現には大きく3つの課題点があると言います。
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1.気象観測インフラの整備や、それら技術を運用するための人材育成などの面で発展途上の過程にある国が多く、実現には莫大な費用と時間を要してしまう
2.海上など気象レーダーの観測範囲外では雨を捉えられない
3.既存の物理モデルをベースとした予測技術が限界に近づいている
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今回、ウェザーニューズが開始するプロジェクトは、NVIDIA(米カリフォルニア州)が持つ最先端のAIスーパーコンピューターを活用した「Deep Learning技術」により、上記3つの課題を解決するものです。日本を中心とした高精度な情報を持つ衛星画像と、雨雲レーダー画像を“教師データ”として、衛星画像をベースに雨雲レーダー画像を生成し、雨の状況を可視化・予測します。つまり、気象レーダーなど気象観測インフラの整備が進んでいないエリア(海上を含む)においても、その整備や維持管理の必要がありません。
プロジェクトの第一段階では、東南アジアを解析対象エリアとし、その後、他のエリアにも拡大していく予定です。本プロジェクトにおいてNVIDIAは、GPUコンピューティングのためのハードウェア、ソフトウェアスタック、またそれらのノウハウを提供し、最先端スーパーコンピューター「DGX-1」を駆使した「Deep Learning技術」を開発。ウェザーニューズは、新たな気象モデルの開発と運営を行います。

■コスト削減効果は1/8000
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NVIDIAが開発する「AIプラットフォーム」は、コスト削減においてもこのプロジェクトに大きく貢献するようです。現在レーダーでカバーされている地域は、主に経済的な制約により、地球上の約17%に限られており、地球すべてをカバーするためには、4,000基ものレーダーが必要と言われています。これに対し、NVIDIA の「DGX-1」を50台用いれば、全世界の1分毎のデータをバーチャルレーダーで生成できるようになり、コストはなんと1/8000に抑えることが出来るといいます。
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ウェザーニューズでは、IoT技術の発達により、今後は車やソーラーパネル等、さまざまなモノが気象の観測器になっていくと予測しています。

日本国内だけを見ても、大雨や台風などによる甚大な被害が出ている中、より精度の高い予報予報システムが誕生することは、心強い話題です。このプロジェクトの進捗や成果について、今後も適時、注目して参りたいと思います。

■参考サイト:weathernewsニュース/2018年9月13日
全世界の降水分布を高精度に可視化・予測するAIプロジェクトでNVIDIAとコラボレーション
https://jp.weathernews.com/news/24732/
■Rentec Jpurnal Vol.172:日立製作所/気象庁の新スーパーコンピュータシステムを構築(※1)
http://journal.orixrentec.jp/2018/06/post-70.html

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